ブックデザイナーとして有名な井上新八さんの『続ける思考』を読破しました。
6章ある本ですが、5日間で読み切りました。大体1日「1章+α」のペースで読みました。
あえてキリの良くない読み方をしたのは教育効果*を考慮して…ではなく、気分でそうなりました。気分に合わせたら「1章ごとに読み切る」ようなキリのいい読み方なんてできません。
私が5日で読める本なので、読書が苦手な人でも、スラスラ読めると思います。ある意味、この5日間でも『続ける思考』を実践できたのかもしれません。
* 教育効果として…ツァイガルニク効果とオヴシアンキーナー効果など
ツァイガルニク効果:完成したものより未完にものの方がよく覚えている現象
オヴシアンキーナー効果:未完の作業をやりたくなってしまう現象
ツァイガルニク、オヴシアンキーナーの両氏ともに女性です。
本を読んでて、印象に残った、考えさせられたのは部分を1つ挙げると次の部分です。
「本を読め」と先人たちが言ってきた意味がようやくわかった。
本を読むということは世界に出合い直す手段であり、そして自分を発見して行く行為でもある。読書は探究であり対話だ。(p.280)
引用:「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考、井上新八著
かつての学生・生徒(インターネットが発達していなかった時代の学生・生徒)は本をよく読んでいたので、自然と探究につながる知恵、知識、方法論や心構えを身についていたのではないかなぁ…と。
逆に、現代は「知恵、知識、方法論や心構え」を身につける手段が「本じゃなくていい時代」だから、本以外で教育しているのかもしれない…と。
なお「本じゃなくていい時代の本づくり」は次のようにされているようで勉強になりました。
参考:https://x.com/skosuke_sum/status/1854138566911332599
継続ネタとしては、習慣として定着するのに必要な66日説(フィリッパ・ラリー博士博士の説)が載っていました(p.69)。
66日説は『すぐやる脳』菅原道仁(著)(p.47)や『小さな習慣』 スティーブン・ガイズ著にも載っています。
なお、この66日って数字は日本人のみならず世界中の人が大好きな「平均」を使って算出した数値でございまして、アカデミックな根拠としてよく登場しますが、アカデミックな根拠としては正直厳しいのではと思います。
…と言うのも、この66と言う数値は、外れ値の影響を受け倒した「平均の結果」だからです。
今回の例からも、統計量の検討は最大値・最小値から始めないと…と思いました。
なお、ラリー博士の実験では、最小値が18日、最大値が254日、サンプル数が96です。(この18日や254日の判定も、どうなのかが気になります。)
外れ値の影響を受けまくった場合の「平均値」は代表値として活用しづらい、と高等学校でも習うと思いますが、無理やり活用したのがこの例です。
他の例を挙げるなら、日本において、二人以上の世帯における貯蓄現在高*は 1904 万円(2024年度報告データで、調査年は2023年)なんだそうですが、この数値を間に受けて「日本人ならみんな・み〜〜〜んな貯蓄現在高は1904万円あるよ〜」って言っているようなものです。
貯蓄現在高、1904万円もあります?
(もちろん、我が家にはありません。:反語)
66日説が、アカデミックの根拠がないラーニングピラミッド(学習のピラミッド)のようにゾンビモデルと言われなきゃいいですが…。
参考:「学習のピラミッド」モデルというゾンビ
他に
「正しい努力」より「正しい継続」(p.44)
「正しい努力」をやめてみよう(p.44)
解き方は自分で発見する(p.51)
「続けるのが苦手」なんて思い込みだ。すでにみんな、もう何か続けている(p.71)
小さなことは2つ「セット」で考える(p.81)
新しくはじめる小さなことを、今ある流れの中にそっとまぎれこませる(p.101)
大事なのは「毎日やる」と決めておくこと(p.118)
「やる気のスイッチ」ってものがあるとしたら、それは「やるフリ」をすることかもしれない(p.126)
積極的に現実逃避して自分を取り戻す(p.135)
目指すべきゴールをかんがえるのをやめてみるのはどうだろう(p.162)
「続ける」ことを阻むもの…(中略)…最大の敵は「目標を達成する」だ(p.190)
「何のため」ではなく「なんとなく」(p.200)
一見意味がなさそうなくだらないことこそ、続けることでとんでもない価値が生まれる「チャンス」が眠っている(p.206)
バカみたいなことをおろそかにして、大事なことばかりやっていると、本当につまらない人生になってしまう(p.240)
引用:「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考、井上新八著