2025年夏に受講した『未来学力トライアングル』の霜先生パートの続きです。
ver1はこちら、ver2はこちらです。
記号化の功罪
数学における記号の使用について、そのメリットとデメリットの話。
数学の記号は、記述や思考を楽にするだけじゃなくて、いろいろな側面がある。
例えば、\(\sqrt{2} \) は、単に「2乗したら2になる数」という(中学の教科書上の)定義だけではなく、具体的な数値としての側面や無理数としての側面など、いろんな側面がありますよね。
ただし記号をあまりに短くしすぎると、それが何を意味するのかという本質的な理解が失われる可能性もある。要は、記号化によって多角的な意味が隠れてしまうことがあるということで、その典型が\(\sum\)記号。 某師に言わせると\(\sum\)は「できそこないの記号」…なんだとか。
数学って記号化すると公式もできるんですけど、そのせいで過度な公式の操作になっちゃうんですよね。「数学教育の文脈でいうと、Skempの用具的理解、starの手続的な知識」だけ…みないな感じになっちゃう。
\(\displaystyle\sum_{k=1}^n \left\{(k+1)^3-k^3 \right\}\)を求めなさい…って問題を出すと、\((k+1)^3\)を「わざわざ」展開して求めようとして、展開も間違えちゃうし。数学が苦手な人って、式を不必要にこねくり回して、簡単な問題をわざわざ芸術的に難しい問題にしてツボってる気がする。
\(\sum\)を学習するときに\(k=1,k=2,k=3,k=4,\cdots \)って代入して把握する、理解を深める練習ってしているはずなのに…
英語学習における「意味と訳の違い」の比較なんかもありました。
単語を単なる日本語の訳語と1対1対応で覚えるのみだと、その単語が持つ「役割」や、文脈における多義的なニュアンスを理解できず、結果として文章を正確に読み解く力が育たない。
これも、記号化(訳語化)されすぎた結果、本質的な理解が阻害される例ですかね。
(霜師)現代文の解説で登場したキーワード
人間中心主義的デザイン(Human-centered Design)
「人間(消費者)が使いやすいか、欲しいか」のニーズを最優先にする考え方
人間にとっては便利でも、資源を使いすぎたり、ゴミが増えたりして、地球環境には「悪い影響(ネガティブな影響)」も与えてきた。
非西洋社会の存在論
動物も人間であると捉えたり、山も感覚的な存在者であると捉える、人間以外の存在にも価値を見出す考え方
マルチスピーシーズ人類学
人間だけでなく、多様な種(multispecies)が直面する困難に立ち向かうことを目指す人類学
「人間だけの幸せ」を研究するのではなく「多様な種が、どうすれば一緒に生き残れるか」を考える
スペキュラティブデザイン(思弁的デザイン)
人間中心主義を超えて人間と多様な種の協働や、人間以外の存在にも人間性を見出すような、近未来志向で地球規模の問題解決に取り組むデザインの新しい概念






