表題の『入不二基義 × 大島保彦 × 霜栄 司会 = 斎藤哲也 予備校文化(人文系)を「哲学」する』(5時間弱の動画)
をゲンロンのwebページで一気に試聴しました。
私自身も教わる場として、そして教える場として、予備校には随分とお世話になったので、今でも時折その頃のことを思い出します。
そんな予備校文化を堪能できたので、一部レポートしたいと思います(文章が長くなったので前・後半に分けて)。
なお、私が受験生(高校3年生及び浪人生)だったのは世紀末の1999年と2000年で、予備校講師をしていたのは2004年と2005年でした。ちなみにかつての私にとって予備校という場は、(かつて流行った)日本史の立体パネルのように「すごいものを魅せてもらえる場所」でした。(数学の場合は、すごいテクニックなど)

日本史・立体パネル
出典:菅野の日本史B立体パネルForever

冒頭の30分程度はYouTubeの動画があります。それ以後はゲンロンのページ(全編は有料)にあります。

予備校文化(人文系)を「哲学」する
公開終了は「2024年11月03日23時59分」です。
一般:1,485円(4時間半)、延長部分:110円(20分弱)
講座のレポートはこちらをクリックしてください。
本講座の完全文章版(入不二基義氏のページ)はこちらです。

講座の中で象徴的だったのは内容(発言)は

霜(師)の発言
『(予備校は)今以上に際立って変な場所だというレッテルがあった。』
今は予備校講師が教員向けのセミナーをやっているが、(30年前の)1993年はそういうムードではなかった。
(高校現場からは)教育の敵であり、(大学からは)学問の敵と思われていたのが予備校で、学問でも教育でもない受験というものをやっているが、何をやっているのがわからない存在だった。でも、だからこそ「かつての方が予備校文化が熱く存在しえた」』

前述の「教員向けのセミナーが現在は好評を得ている」ことを考慮すると1世代前(30年前)の予備校と今の予備校は全く別物(別の印象)になったんですね。
これは意外でした。というのも、私が予備校に通っていたのは1998年~2000年ほどですが、高校の先生が予備校を敵視していると感じたことはなかったので…。私の高校では、河合塾のサテライト講座をやっていたくらいでしたから…。
ちなみに私は英語と数学のサテライト講座を受講していて、その時の講師は「英語は執行一介先生(注1)、数学は長谷川進先生(注2)」でした。
注1:性転換されたそうです
注2:賛否両論のある『教科書だけでは足りない 大学入試攻略 統計的な推測』を執筆された先生。否定側は某〇先生…?。

大島(師)の発言
受験勉強をする中で受験を超える(or 自然に受験を超えている)
「勉強が嫌いだから、楽をしようとして予備校に手続きをした。楽をしようとして学んでいるうちに勉強の面白さがわかった、その副産物で(大学に)受かった。」(こんな感じの内容)
今でも自分の予備校時代のことを懐かしくも輝いて感じている「その思い」が、この言葉に凝縮されている気がします。
それもまた「かつての予備校文化」なのかもしれません。
まぁ、予備校に通う理由の1つに「楽して成績が上げる」みたいな気持ちはあるのだと思います。
私はそれが悪いとも思いません。綺麗事を言う方はいると思いますが、社会に出れば「楽なことばかり考えて、真っ当な仕事をしない大人」が受験生や学校の先生が想定している100倍はいます(私の体感)。

【以後脱線】ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*

(世間のニーズを考慮した結果なのでしょうが…)現代は何でもかんでも「速さ」だけが求められるので、
今の予備校の講義は、いろいろな意味でインスタント食品のようなものになっている気がします。
某チェーン店の「すぐおいしい、すごくおいしい」ならぬ「すぐわかり、すぐ使える(方法)」といったところでしょうか?
(注:いずれのフレーズもネガティブな意味では使っていません。)

消費期限のある食品のように、消費期限のある教育がなされている感じがして
「勉強が嫌いだから、さっさと終わらせるためのテクニックだけ教えてください」という本音が節々に聞こえてきそうです。

私が駿台で最後に受講した大学準備講座で大島師が言っていた
「駿台の授業には問題点がある、それは分かりやすいことだ」がさらに加速している気がします。
世の中にはメリットしかない理想的なものなんてほとんどなくて、たいていメリットを選んだと同時に何らかしらのデメリットを負っています。
わかりやすさには落とし穴がある…ことを知らないと、大切なことを知らないで学びが終わってしまう気がします。
一般的に「すぐに身につく方法は、すぐに陳腐化する」と言われ、具体例は枚挙にいとまがないんですが、勉学も同様では?

ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*【脱線終わり】

入不二(師)関連の内容

予備校文化の震源地って、代ゼミでも駿台でもなく「河合塾」なんだそうです。
駿台って理系で堅実なイメージでしたが、ある講師の授業に他の講師が侵入するような、ウィットに富んだお茶目なこともするんだそうです(注4)。
私が駿台生(仙台校)だった頃にそういった現場に鉢合わせたことがありませんが、今でもあるんだとか(注4)。
注3:入不二(師)の授業に霜(師)が乱入する。
注4:大島(師)の授業に雲(師)が乱入するなど…。